1分子であることの証明-04

では,先の値は,どの程度の大きさとなるのでしょう?
実際に計算してみました.

W≠0 W1/W≠0

0.05

0.97
0.1 0.95
0.2 0.89
0.5 0.69
0.9 0.25
0.999 0.007

となります.
つまり,実験を行い,10回に9回データをとれる条件(W≠0=0.9)では,その結果の中で1分子である確率は,たった1/4なのです.
逆に言うと,3/4のイベントは1分子ではない,ということになります.

10回に1回程度の条件(W≠0=0.1)では,なんとか20イベント中,19イベントが1分子のイベント,となります.
20回に1回程度の条件(W≠0=0.05)では,33イベント中,32イベントが1分子のイベント,となります.

つまり,
 ポアッソン分布を使って,相当の確からしさで1分子であることを主張できる
 しかし,絶対に1分子である,とは言えない

と言うことをしっかり認識することが必要です.

論文で,1分子の結果だ,と言うためには,やはり,W≠0=0.05,ぐらいの条件で行いたいものです.
となると,20回に1回...
1回の実験に1時間かかるとすると...20時間に1イベント.
がんばって,1日10時間実験するとして,なんとデータをとれるのが二日に1回,となってしまいます.
このように,1分子の実験は結構大変な労力が必要とするものなのです.

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